第三話 揺れる想い

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 お会計を済ませ、花瓶を買った袋を抱きしめて戻ると、その紙袋を和仁さんがヒョイと持ち上げる。 「持とう」 「大丈夫です!そんなに重くないし」 「いいから」 「ありがとうございます……」  ああ、どうしよう……嬉しくてドキドキが止まらない。和仁さんはどうしてそんなに優しくしてくれるのかしら?  最初は私の顔を見ようともしなかったのに、最近は目を合わせてくれる。それだけでも嬉しい。 「洋服とかはいらないのか。てっきりそれが欲しいのかと思っていたが」 「あ、えっと、そうですね」  このワンピースは去年買ったものだし、他によそゆきで着ていけるような服はない。  少しくらいはオシャレしないと、和仁さんに呆れられてしまうかもしれない。 「じゃあ、少しだけ見てもいいですか?」  私たちは婦人服フロアへ移動した。  来てみたはいいものの、デパートでに入っているショップはどこもいいお値段。  さっき奮発した買い物をしてしまったばかりで、どれもかわいくて素敵だなと思うものの、手に取る勇気まではない。  何しろ私、普段からファストファッションばかりだから……でも桜花組次期組長の妻が安物ばかり着ていたら格好付かないかしら。 「何かお探しですか?」  ウロウロしながら見ていたら、店員さんが話しかけて来た。  適当に見ていただけなので、なんて答えたら良いかわからなくて曖昧に苦笑いを浮かべてしまう。 「これなんか似合うんじゃないか?」
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