第三話 揺れる想い

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「これ、買います」 「えっ!?」  そのまま和仁さんはレジに行き、会計しようとするので慌てて止めた。 「大丈夫です!自分で買えますっ」 「いやいい」 「でも……っ」 「妻にプレゼントするくらい普通だろう」  そんな風に言うなんて、ずるい……。 「ありがとうございます……」 「そのまま着て行ったらどうだ?」 「ええ?」 「良いじゃないか、せっかく似合っているんだ」  和仁さん、どうしてそんなに優しくしてくださるの?  私は書類上だけの妻じゃなかったの?  愛さないってはっきり言ったくせに、こんなに良くしてもらったら――期待してしまう。 「他に見たいものは?」 「えっと、もう……」  大丈夫です、と言いかけてから本屋があるのを見つける。 「あの、本が見たいです」 「本か」 「でも、和仁さんは見たいものないんですか?」 「ない。本屋に行くか」  そう言って自ら本屋の方へ向かう和仁さん。  今日の和仁さん、どうしたのだろう。  どうしてそこまで私に付き合ってくれるのか、わからない。  だけどこうして付き合ってくれることが、どうしようもなく嬉しいと感じてしまう。
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