第四話 抑え切れない恋心 side.和仁

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「そんなことないです!すごく嬉しいです……!」  嬉しそうなジェシカの瞳に涙が浮かんでいるのに見て、また泣かせてしまったのかと焦る。 「どうした?」 「え?やだ、ついこぼれてしまったみたい。だってすごく嬉しいんですもの」  そう言ってジェシカはハンカチで目元を押さえる。 「……これだけのことが?」 「和仁さんが私のこと知ろうとしてくれる気持ちが嬉しいんです。それに和仁さんは、いつも私のことを受け入れてくださるから。 実家ではいつも否定されてばかりだし、私の意思なんて誰も求めてませんでしたから」  改めて実家であれだけ冷遇されながら、慎ましく真っ直ぐに育ったものだなと思った。 「やっぱり和仁さんは優しいですね」  違う、優しいのは君の方だろう。  俺なんかのこと、そんな風に思ってくれるのは二人目だった。  愛のない政略結婚を受け入れ、悲観することなくいつも前向きで。  突拍子もないことをし始めることもあるが、いつも周囲への気配りは忘れない。  こんな俺にも温かく微笑みかけてくれる君が、愛おしくてたまらない。  もう誰のことも愛せない、愛したくないと思っていたのに――。
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