第四話 抑え切れない恋心 side.和仁

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 全く自分は何をしているのだろう。ジェシカにあんなに冷たいことを言っておきながら、やっぱり愛しているだなんて言えるわけがない。  助手席に座り、シートベルトを締めているジェシカを横目で見つめる。  そもそもジェシカは俺に対して恋愛感情はないのだろう。  顔が好きだと言われたことはあるが、今更夫婦らしさなんてものは求めていないだろうしな。 「……あ。すまない、先に駐車券の清算をしてくる。車の中で待っていてくれるか」 「わかりました」  一度車を降り、駐車券の清算を行なった。  その場を離れたのはほんの数分のことだったと思う。  だが、車に戻るとジェシカの姿はなかった。 「……ジェシカ?」  キョロキョロと周囲を見回すが、どこにもいない。 「ジェシカ!どこにいる?」  電話をかけると、割と近い距離から着信音が聞こえた。ハッとして音の鳴る方へ行ってみると、ジェシカのスマホが地面に落ちている。 「……!!」  一気に血の気が引いた俺は、ジェシカのスマホを拾い上げ、急いで電話をかける。 「もしもし峰かっ!?」 『若?何かあったのか?』 「ジェシカが攫われた!!」 『何だって!?』  確証はないが、ほぼ間違いない。ジェシカは何者かに連れ去られたんだ……! 「全組員総動員してでも探してくれ!」 『わかった、すぐに手配する』  電話を切り、すぐに車に乗り込んでエンジンをかけた。 「クソ……ッ!!」  桜花組次期組長の妻が狙われないはずがない。これは俺のミスだ。  自分の立場も忘れて、何を浮かれていたんだ俺は。  頼む、どうか無事でいて欲しい。頼むジェシカ……!!  祈りながら車を全速力で発車させた。
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