第五話 通じ合う心

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 私は初耳情報を聞かされて思わずポカンとしてしまった。 「警察公認……?」 「あれ、ご存知なかったですか?」  そこで初めて知った。  桜花組が実は古くから警察の裏で暗躍するカタギの極道であること。  警察でも介入がしづらい事件で、警察の黙認の元秘密裏に動いていたりするのだという。  桜花組が裏世界を統一することで、平和を保っている。  それを知って納得した。桜花組の方がみんな優しいのは、そういうことだったんだ。 「とは言え、世間では知られてませんけどね。そして、桜花(うち)と同じ警察公認組織で同等の勢力を持っているのが、染井一家なんです」  桜花組と染井一家は古くからずっと対立関係にある。それこそ昔は激しく争うこともあったのだそうだ。 「但し、互いの組長が和議を交わしているので表向きは争うことはありません。それでも長年の因縁で両組の関係は歪なものですが」 「つまり、対立する桜花組の妻だから私は拉致されたってことですか?」 「……それだけではなさそうですが、まあそういうことです。今回の件は大事にせず、染井の方で落とし前を付けるでしょう。 姐さんをあんな目に遭わせてしまったのに申し訳ないですが、どうかご容赦ください。桜花と染井が本気でやり合うことになれば、戦争と変わりませんから」 「はあ……」
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