第五話 通じ合う心

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 正直言ってあまり理解はできていなかった。  とりあえずは染井一家という敵対組織の組員が行ったことみたいだけれど、何だか腑に落ちない。  敵対する桜花組の次期組長を恨んでの犯行だけではなかったような気がする。  和仁さんが人殺しだとか、ミオお嬢さんがどうとか。  でも、私が聞いてもいいことなのかな……。  家に着いて車から降りると、待っていてくれたのかすぐに千原さんたちが駆け寄ってくれた。 「姐さん大丈夫でしたか!?」 「無事でよかったです!」 「心配かけてごめんなさい。大丈夫よ」 「よかった……!!」  すごく怖かったけど、みんなが心配してくれることが嬉しい。ここはもう私の家なのだと思った。 * * *  みんなが夕飯の準備をしてくれて、大きなテーブルの上に大きな鍋が置かれている。鍋の中身はほかほかと湯気が立ち込める美味しそうなおでん。  嬉しいけれど、何だか今は食べる気になれなかった。 「……ごめんなさい。私は後で食べるわ」 「いいんすか?兄貴から今夜はおでんにしろって言われてたんすけど」 「いいの。和仁さんと一緒に食べたいから」  私は一人自室へ戻り、ベッドの上に座って溜息をつく。  早く和仁さんに会いたい。さっきのことも謝らなくちゃ。  和仁さんを拒絶するような素振りをしてしまったけど、和仁さんのことが怖かったわけじゃない。  ただちょっとだけ、びっくりしちゃったの。  極道らしい一面を初めて見てしまったから。  そのままベッドに横になったら、いつの間にか寝落ちてしまった。 「ただいま」  ガラリという扉の音と声にハッと目が覚めて、玄関まで駆け寄る。
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