第五話 通じ合う心

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「お帰りなさい!」 「ジェシカ……まだ起きてたのか。眠れないのか?」  驚いた表情を浮かべつつ、私を労るような優しい視線を向けてくれる。  そのことにちょっとホッとした。  あの時はそれどころじゃなかったけど……和仁さんが私の名前を呼んでくれた。それだけのことなのに、とても嬉しい。 「和仁さんのこと待ってたんです」 「そうか。遅くなって悪かった。俺も話があるから、後で部屋に来てくれるか」  私はこくりと頷く。  一度自室に戻り、鏡で自分の姿を見たら髪はボサボサ、メイクも落としていなかった。  こんなだらしない姿で和仁さんを出迎えてしまったなんて、恥ずかしい。  私はとりあえずシャワーを浴びてワンピースタイプのルームウェアに着替えた。  すっぴんのままでいいか悩んだ挙句、リップクリームだけ引いてみる。  ものすごく緊張したが、意を決してドアをノックした。 「どうぞ」 「……失礼します」  ドアを開けると、風呂から上がったばかりで髪の濡れた和仁さんがいる。首にタオルをかけて髪を拭いている姿が色っぽい。  色気がありすぎて顔が見られない……。 「どうした?座らないのか」 「あ、はいっ」  私はドギマギしながら椅子に浅く腰掛けた。  掃除をする時くらいしか入らない和仁さんの部屋は、物が少なく旅館の和室みたいに整っている。  こうして和仁さんと向き合っていると――緊張して心臓が破裂しそう。  どうしていいかわからずソワソワしていると、和仁さんが私に向かって頭を下げた。 「今日は本当にすまなかった。俺のせいで危険な目に遭わせてしまった」
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