第五話 通じ合う心

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 私は慌てて首を横に振った。 「い、いえ!私の方こそ助けに来てくれてありがとうございます。和仁さんが来てくれなきゃ、どうなっていたか……」 「怖がらせてすまない」 「あ、あれも誤解で……」  誤解を解こうとする前に、和仁さんはある紙を私に向かって差し出す。 「離婚届」と書かれた文字を見て、私の息は止まりそうになった。 「離婚しよう」  どうして……? 「俺といたらまた君に危害が及ぶかもしれない。これ以上君を巻き込むわけには……」 「離婚して、実家に帰れと言うのですか?」  思わず和仁さんを遮ってしまった。 「実家に戻っても私の居場所はありません。それでも帰れと言うのですか?」 「ここにいるよりは安全だ」 「危険でも帰りたくありませんっ!」  涙が滲み出ていると自覚しながら、それでも泣くまいと必死になっていた。 「私がいたら足手まといかもしれません。でも嫌ですっ」 「君が桜花組の妻である限り、またあんなことになるかもしれない。……俺は所詮あっち側の人間なんだ。また君を怖がらせて傷つけるかもしれない」
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