第一話 極道に嫁入り

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 ――めちゃくちゃタイプだわ……!!  そう、はっきり言って和仁さんの顔は私の好みドストライクだった。  クールな雰囲気に整った容姿。しかも極道の次期組長。  今ハマっている任侠映画の若頭そのものじゃない……!  一度も私の方を見ようとしないことをいいことに、ガン見してしまった。  見れば見る程男前。母の影響を強く受けた私は、純和風な塩顔が好みすぎる。 「……シカ、ジェシカ!」  父に呼ばれてハッとした。 「何してる。お前も自己紹介しなさい」 「あっはい」  和仁さんに見惚れていたけど、慌てて頭を下げた。 「葉桜ジェシカと申しますっ」 「この通りアメリカ人とのハーフでして。前妻との子なんです」  父はそんな風に言ったけど、実際は不倫で母とは結婚してないし、義母が聞いていたらブチギレていただろう。 「ふむ、なんと綺麗なお嬢さんだ」 「ええ、本当にお人形さんみたい」 「よかったな、和仁。こんなに美しい嫁さんにきてもらえて」 「……」  和仁さんはずっと無言だった。 「無礼な倅ですまないね」 「い、いえ、とんでもない! 吉野組長には大変お世話になり、何とお礼をしてよいか……っ」  父はずっと組長さんの前でヘコヘコしていた。
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