第六話 遅れてきた蜜月

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 そのままベッドに寝かされ、組み敷かれて馬乗りにされるまで一瞬だった。 「かっ和仁さん、疲れてるんじゃ……!」 「妻を抱くくらいの体力はある」 「……っ!」  熱を帯びた瞳で見下ろされてしまったら、もう逃れられない。  彼から与えられる快楽に溺れてゆくだけ。  指で舌で、全てを使って翻弄させられる。  何も知らなかった私の体は、もう和仁さんに刻み込まれてとろとろに蕩けさせられてしまった。 「……っ、ぁ……っ」  何度も奥を突かれる度に喘ぎ声をあげ、何度も絶頂に達する。  絡み合って溶け合って一つになる。  手を伸ばして欲しがると、深い口付けをくれる。混ざり合う唾液はもうどちらのものかわからない。  和仁さんが好き。好きで好きでたまらなくて、幸せなのに苦しくて泣きたくなる。  それくらい大好き――……。 * * *  朝起きて、全身キスマークだらけの自分を見て赤面するところから一日が始まった。  お客様を迎えるのに、こんな姿は見せられない。  鏡の前で何度も見えないか確認した。  もうだいぶ暑くなって薄着なのに、肌が出せない。  首が詰まってるシャツにカーディガンを羽織ったら大丈夫かしら? 「これっ、変じゃないですか?」 「かわいいが……別に着るものなんか気にしなくても」 「気にしますっ!和仁さんのせいですよっ」  本当に困っているのに、何故か和仁さんは楽しそうに笑みを浮かべながら私を後ろから抱きしめる。 「君はいちいちかわいいな」 「か、和仁さん……!」
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