第七話 夫婦の形

2/14
前へ
/85ページ
次へ
 車の中でしょんぼりしていると、急に車が急停車した。 「きゃっ」 「申し訳ありません、姐さん。なんかあったようで」  窓で外を見てみると、パトカーが止まっているのが見える。何か事件があったのだろうか。  道が塞がっているため遠回りしないといけないようだ。 「すみません、姐さん。少し様子を見てきてもいいですか?」 「はい」  そう言うと、笹部さんは車を出て様子を見に行った。  こういう時、何が起きたのか把握するのも桜花組の組員として、なのだろうか。  やっぱり私は何も知らないなぁと思った。  程なくして笹部さんが帰ってきた。  だけどその隣には見知らぬ男性が同行している。  ビシッとスーツを着こなしたその人は、刑事さんなのだろうか。何故か真っ直ぐこちらへやってきたかと思うと、窓ガラスをトントンとノックした。 「初めまして。あなたが和仁の奥様ですか?」 「え?はい、そうですが……」 「あなたが!ずっとお会いしたいと思っていました!」  パアッと表情を明るくさせ、にこやかな笑みを浮かべている。  和仁さんのお知り合い?  私が戸惑っていると、その隣から笹部さんが口を挟む。 「信士(しんじ)さん、姐さんを困らせないでください……」 「おっと、失礼。申し遅れました、私は満咲(みつさき)信士(しんじ)といいます。和仁の友人です」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

588人が本棚に入れています
本棚に追加