第七話 夫婦の形

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 桜花も染井も警察の影の組織だと聞いた。  両組ともとても大きな勢力だし、協力し合えばもっと強固な力となるはずだ。  それなのにどうしていがみ合うのだろう。 「昔からの因縁があるライバル関係だったみたいだけど……それだけじゃない。二組にはわだかまりがあるの」 「わだかまり?」 「ごめんなさい、それを私の口からは話せない。和仁さんがあなたに話していないのなら、尚更私から話すべきじゃないわ」 「……私が知っていいことなのでしょうか」  それがあの人が言っていた「人殺し」という言葉に関係しているのだとしたら――、和仁さんは話したくないのかもしれない。 「ジェシカさん……」 「ジェシカ」  不意に後ろから声をかけられた。  振り返ると、和仁さんと信士さんが立っていた。 「そろそろ帰るぞ」 「あ、はい」  帰り際、結婚祝いにペアのワイングラスとお土産にチーズケーキをいただいた。  疎い私にはよくわからないけれど、きっと高価なものなのだろう。 「こんなに素敵なもの、ありがとうございます」 「いいえ、今日はとても楽しかったわ。また遊びにいらしてね」 「ジェシカさん」  信士さんはにこやかに微笑みながら、私にしか聞こえない声で囁いた。 「和仁のこと、信じてやってください」 「えっ……」  それってどういう……?  聞き返そうとしたけれど、グイッと和仁さんに腕を引っ張られた。 「ジェシカ、行くぞ」
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