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“もし私の提案した企画が形になって、最近注目のインコネといち早く提携が結べたとしたらそれはかなりの功績になる”
だがその功績の為に偶然知り合った彼を利用するというのは、私にはどうしても出来なかった。
どうやら私が何も言わないことを怪訝に思ったのか、一歩先を歩いていた彼がこちらを振り返る。
「あれ、別のアプローチ方法試すんじゃないの?」
その言い方からして、どうやらここまでが彼の計画だったようだ。
「どうして私にこんなに親切にしてくれるのかはわからないけど、私は私自身が提示できるメリットでオトすわ。だって私自身が本当にいいと思ったから提案してるんだもの、私が出すメリットで選んで貰わないと不公平でしょ」
「そう? コネって結構よくある手法だと思うけど」
「あー、あー、あー! 言わないで、惜しくなるから!」
「あはは、ちょっと不器用って言われない? まぁそうじゃなきゃ経験を積むために本当に男を買ったりしないか」
耳を両手で塞いで必死に聞かないフリをしている私を見て噴き出した光希は、耳を塞いでいた私の右手を外しぎゅっと握る。
そして繋いだまま歩き出した。
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