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私が目覚めたことに気付いたらしい亮介はすぐに私が寝かされていた寝室に顔を出し、ミネラルウォーターを手渡してくれた。
そして自衛が甘いと説教をされたのである。
自分で言うのもアレだが、こんな据え膳状態だった女を自宅へ連れ帰った彼は結局私に指一本触れず、他の男から庇い、叱り、そしてベッドを譲ってくれたというその事実にただただ驚いた。
なんて誠実な人なのだろうと思った私は、それをキッカケにし彼と二人でよく呑みに行くようになったし、そんな二人が付き合い出すまでに時間はかからなかった。
全てが順調だった。
デートはいつも私の好きなところを探し連れていってくれたし、夜の営みも常に優しく彼がリードしてくれた。
付き合って十ヶ月でプロポーズもされた。
一年に満たない期間ではあったが、彼ももうすぐ三十だし決して早いとは思わなかった。
この人となら穏やかにこれからも共に過ごせるのだと疑わなかった私は、完全に浮かれていた。
恋に恋をして現実がちゃんと見えてなかったのかもしれない。
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