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「ちょっとフラれ続けてることがあるってだけ」
「ふぅん? なら、アプローチ方法を変えてみるってのはどうかな」
「アプローチ方法?」
例えばどんな、と私が首を傾げた時、足を止めた光希が私を振り返る。彼の手にはカードキーサイズの切符が二枚。
そしてすぐに周りの景色に愕然とした。
「新幹線乗り場……!?」
「ちょっと原点、行ってみない?」
「原点って、ま、まさか」
驚く私を見て、まるで悪戯が成功した少年のような表情になった彼が思い切りな笑いながら口にしたのは。
「京都大学、行ってみようよ」
「は、はぁぁ!?」
私にとって青天の霹靂な提案だった。
◇◇◇
最初からそのつもりだったのか、既に手配されていた新幹線のチケットはなんとグリーン車。
にこりと手渡されたブランケット、フットレストにおしぼり、雑誌までが付いていて仕事で乗る席とはまるで違いぽかんとしてしまう。
“各席に読書灯までついてるなんて”
グリーン車に乗るのが初めてだった私は、慣れた様子で軽食を選んでいる光希にただただ目を白黒させていた。
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