5.原点に戻って

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 そして東京駅から約二時間半、京都駅からはタクシーに乗り辿り着いたのはまさしく京都大学だった。 「あり得ない……数時間前はまだ東京にいたのに……」 「ほら、入ってみようよ」  にこにこと手招きする光希を見て慌てて駆け寄ると、彼は慣れた様子で歩きだした。 「ね、ねぇ、部外者が勝手に入っていいの?」 「まぁ観光客とかもたまに来てたから大丈夫でしょ」  さらっと告げられたその言い方に小さな引っかかりを覚える。 “その言い方って……” 「もしかして、京大出身、なの?」 「ストレートで院も出たよ」  私の勘は正しかったようで、光希が京大大学の卒業生だということを知った。 “まさかインコネの代表と知り合いだったりするのかしら”  その可能性に思わずゴクリと唾を呑む。  代表のプロフィールは会社概要に載っていたのを確認したが、少なくともそれは光希ではない。  だが、経歴的には世代は近かったのも確かだった。 「もしかして光希……」 「うん?」  何か繋がりがあるの、と口から出かけて、慌てて閉じる。  もし彼と何かしら関係があったとして、そして今この瞬間にそれを確かめられたとしたら。
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