959人が本棚に入れています
本棚に追加
そして東京駅から約二時間半、京都駅からはタクシーに乗り辿り着いたのはまさしく京都大学だった。
「あり得ない……数時間前はまだ東京にいたのに……」
「ほら、入ってみようよ」
にこにこと手招きする光希を見て慌てて駆け寄ると、彼は慣れた様子で歩きだした。
「ね、ねぇ、部外者が勝手に入っていいの?」
「まぁ観光客とかもたまに来てたから大丈夫でしょ」
さらっと告げられたその言い方に小さな引っかかりを覚える。
“その言い方って……”
「もしかして、京大出身、なの?」
「ストレートで院も出たよ」
私の勘は正しかったようで、光希が京大大学の卒業生だということを知った。
“まさかインコネの代表と知り合いだったりするのかしら”
その可能性に思わずゴクリと唾を呑む。
代表のプロフィールは会社概要に載っていたのを確認したが、少なくともそれは光希ではない。
だが、経歴的には世代は近かったのも確かだった。
「もしかして光希……」
「うん?」
何か繋がりがあるの、と口から出かけて、慌てて閉じる。
もし彼と何かしら関係があったとして、そして今この瞬間にそれを確かめられたとしたら。
最初のコメントを投稿しよう!