エピローグ:その偶然に名付けるのなら

3/3

948人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
 そしてその彼こそが私の次の企画にと考えてアプローチをした会社の実権を握っていたなんて、本当に凄い偶然である。 「本当に奇跡みたいな偶然だったかも。そんな偶然に感謝しなくちゃ」  ふふ、と笑うと、私の髪を遊んでいた光希がそっと顔を耳元へ近付ける。 「俺、偶然が重なるってことは運命だって思うことにしてるんだよね」 「!」  甘く囁かれたその言葉に私の頬が一気に熱を持った。  もし彼との出会いが偶然ではなく運命だったのならば。 “ううん、運命じゃなかったとしても”  偶然でも運命でも。私が彼と出会えたというのは事実なのだから。 「私、光希が大好き」 「うん、俺も」  そっと彼と手を繋ぎ、私たちは歩き始めたのだった。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

948人が本棚に入れています
本棚に追加