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私は右手の薬指に付けた指輪に口づけを落とした。すると、ポンと音を立てて魔法の力を宿した竹ぼうきがあらわれる。それにまたがれば、ほうきは青い空へ向かって飛び上がる。
「わあ! いきおい強すぎ」
「まったく、あいかわらず空もろくに飛べないんだから……」
「む! ミネ、ここから落ちたいの?」
「う、それだけは勘弁して。それよりも、どこの世界へ行くのか決めたのか?」
「うん。どうせ、行くならかわいい世界に行きたいなと思ってジュエっていう世界のプリッシュ王国にいくつもり!」
「はあ、なんであんな国に……って、うわああああ! スピード出しすぎぃ」
「ほうきが言うこと、聞かないのー!」
ほうきのスピードはぐんぐん速くなっていって、ついには空の雲をも追い越して、そこでやっと動きが止まった。
「はあ…はあ…こんなので、私やっていけるかなあ……」
「それはこっちの台詞! はやくしないと異空間の扉がしまっちゃうだろ」
「ほんと! いそがないと」
私がそう叫んだとき、またしてもほうきがスピードをあげて異空間の扉である“月の影”に飛び込んだ。
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