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「きゃああああああっ!」
ほうきが言うことを聞かず、異空間の扉をくぐったあとも早さが弱まる様子はない。
「ぐわあ! 止めろよ、ベル!」
「むりー!」
そのまま木の中へ突っ込んだ。ようやく、ほうきは動きを止める。
「あいたたた……」
せっかくの上質な絹の服もどろまみれ、草まみれになってしまう。
「いいかげん、ほうきの操作の仕方ぐらい覚えろよ、ベル」
「かんたんに言うけど、難しいんだからね!」
使い魔であるはずなのにミネは、いつも偉そうにそんなことを私に言う。むくれながら何か言おうと口を開いたとき、ふと周りのようすに目を輝かせた。
周りはぬいぐるみのような可愛い生き物がまるで人のように歩き回っている。本を読んでいたり、買い物をしていたり……すべての動作が可愛い。
「ミネ! 見てみて、プリッシュ王国についんたんだ!」
うきうきとしたようすで私が辺りをくるくると見回していると、ベンチに座っているパンダのようなぬいぐるみが落ち込んでいる。
気になって、思わず声をかけた。
「ねえ、どうしたの?」
「うわ、なんですか、あなた! 体大きいし、化け物ですか!」
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