150年目の新人賞

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二番まで歌い終えると、秀喜と直子を始め、何事かと家の中から様子を見ていた人達も梨本に拍手と歓声を贈った。 そして梨本は心の中で、妖怪に話しかける。 もうここには出ない方がいい。 その代わりどうだい、俺と一緒に歌わないか? ☆ それから数日が過ぎて。 たくさんの綾津町の人々が登録してくれた梨本のチャンネルに届いたメッセージ一つ。 『是非、一緒に歌いましょう。 いつでもまた綾津に来てください。お待ちしています。 ところで魚はお好きですか?』 奇跡のデュオが誕生するかもしれないぞ。 梨本は喜び勇んで準備を始めた。 今度は釣り竿も忘れずに。 長く家を空けるかもしれない。 もしかすると帰れないかも。 それでもいい。 俺もお前と同じさ。 ずっと一人で歌っていたんだ。 いつか願いは叶うと信じて。 歌が好きな奴に悪い奴などいない。 きっと俺達は仲良くやっていける。 一緒に再デビューしようじゃないか。 その為になら俺は。 例え妖怪になっても構わない。 たかが歌、と笑う事なかれ。 人生を賭けた輝きに、時代も流行りもあるものか。
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