思わせ振りな女

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なんでお前も来る? あからさまな冷たい態度。 やっぱり先輩も美紀のことが好きなんだ…。 私は美紀に誘われて此処に来たことを後悔した。 大学に入学してからずっと憧れていた同じサークルの梶原先輩。 「梶原先輩、誘ってくれてありがとうございます。菜々美も連れて来ちゃった。」 私の腕に腕を絡みつけて屈託もなく笑う美紀。 誰から見ても普通に可愛い美紀…。 「やっぱり素敵ですね…この車。」 梶原先輩の愛車を見ながら、サイドミラーで前髪を整えながら美紀が言う。 「良かったね!大好きな先輩の愛車に乗れるよ…。」 そう私には耳打ち。 良い訳ないでしょ? この状況をどう楽しめる…。 どう考えたって梶原先輩は、美紀と二人だけのドライブがしたいと思っている。 私は、ただの邪魔者でしかない。 ずっと片思いしていた先輩に告白する前に撃沈。 泣きたいよ美紀。 黙っている私を不思議そうに見ながら頭を傾げる。 悪気はないから怒れない。 天然の思わせ振り…。何人の男どもが勘違いさせられたか知れない。 何人の女が陰で泣いたのだろう。 とうとう私も犠牲者のひとりになったようだ。 胸が痛い。 私…本当に好きだったのに。 さあ、これからどうやってこの場所から逃げよう。
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