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美紀に変に思われないような言い訳を探す。
「乗れよ。」
助手席のドアを開け美紀の腰に手を添えて車に乗せる。
「菜々美ちゃんは後ろに適当に座って。」
ドアさえ開けてくれない。
この扱いの差。
意地でも乗るか!こんな車に…。
「先輩…ごめんなさい。私、帰ります。」
「菜々美ちゃんどうして?せっかく美紀ちゃんが誘ってくれたのに…。」
そう言う先輩は、内心嬉しいような感じ。
「実はちょっとさっきから、お腹が痛くて。」
「大丈夫?」
なかなか乗って来ない私の事が気になったのか、美紀が助手席の窓を開けた。
「菜々美何してるの?早く乗りなよ。」
「ごめん美紀。なんか急だけど来ちゃったみたい。あれが…。生理用品も用意できてないから。万が一先輩の車を汚す事になったら私生きていけない。」
「え?マジで!」
「先輩、そう言う訳なんで帰ります。二人で楽しんで来て下さい。」
私は、先輩にペコリとお辞儀すると二人の顔を見る事なく踵を返した。
今日のために悩みに悩んで決めたピンクのワンピース。
泣くなって思っても涙が止まらない。
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