思わせ振りな女

3/11
前へ
/11ページ
次へ
美紀に変に思われないような言い訳を探す。 「乗れよ。」 助手席のドアを開け美紀の腰に手を添えて車に乗せる。 「菜々美ちゃんは後ろに適当に座って。」 ドアさえ開けてくれない。 この扱いの差。 意地でも乗るか!こんな車に…。 「先輩…ごめんなさい。私、帰ります。」 「菜々美ちゃんどうして?せっかく美紀ちゃんが誘ってくれたのに…。」 そう言う先輩は、内心嬉しいような感じ。 「実はちょっとさっきから、お腹が痛くて。」 「大丈夫?」 なかなか乗って来ない私の事が気になったのか、美紀が助手席の窓を開けた。 「菜々美何してるの?早く乗りなよ。」 「ごめん美紀。なんか急だけど来ちゃったみたい。あれが…。生理用品も用意できてないから。万が一先輩の車を汚す事になったら私生きていけない。」 「え?マジで!」 「先輩、そう言う訳なんで帰ります。二人で楽しんで来て下さい。」 私は、先輩にペコリとお辞儀すると二人の顔を見る事なく踵を返した。 今日のために悩みに悩んで決めたピンクのワンピース。 泣くなって思っても涙が止まらない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加