佐々山電鉄応援団 第3巻

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翌日の夕方。  県立渋沢実業高校は、本来の起案校なのに正式には一番遅れて佐々山電鉄沿線中高生徒会連絡会に加盟した。 ようやく本来の目的を達成した。 佐々山電鉄沿線中高生徒会連絡会。  当初、迷っていた沼川女子高は生徒会の代わりに校長先生とPTA会長が参加した。 初めての会合は、沼川市内の沼川無料カフェで開催された。  みんなが手弁当で集まる。  塾や部活もある中、生徒会だけでなく関心のある生徒も参加してくれた。 佐々山電鉄沿線中高生生徒会連絡会の会合は、月に2回。  前に、渋沢実業高校が単体で行った署名活動みたいなものではなく、群馬県に公的支援を求める為、街頭署名を加盟校の生徒有志で実施する。  佐々山電鉄の早期運行再開を求めるリーフレットの作成、キャラクターデザイン、文化祭などでのPR、各校が担当駅を決めて最寄り駅の駅舎掃除を行う、イベントやフォーラムの参加を行う。  ただ公的支援を求めるだけでなく、佐々山電鉄沿線中高生生徒会連絡会として、行政、自治体に提案も行い運行再開後の旅客増収計画も企画立案する事になった。 「増収対策はダメじゃないの?」と美佳ちゃんが首を傾げた。  僕は「ダメ処か必要な事だよ。ただ新しい方法と並行させて実行するんだ。儲からないで補助金頼みだと意味が無いからね」 幹事校は、群馬県立沼川工業高校に決まった。田島先生がリーダーになる。 僕は、モビリティマネジメントの展開について説明をした。 その際に、長瀞先生は前橋工科大学の先生、学生も連れて来ていた。  沿線の人達の関心を集め、如何に佐々山電鉄を地域の為に活かしていくかが問題になる。  前橋工科大学の先生は、既に前橋市立前橋高校でも公共交通意識の醸成に関する基礎研究、学校での生徒教育についても既に取り組んでいる学識経験者。  モビリティマネジメントという難しい横文字よりも、まずは小学生からはゲームやクイズを使った交通教材を使った遊びながらの交通問題の授業、実際の電車や路線バスを使った利用の仕方を学ぶ学習をメインに実施。  中学生は、グループワークで実際の群馬県や地域の交通網の実態をデータから読み取り、環境問題、少子高齢化問題、地域として何をするのか?を話し合いグループごとにテーマを決めて発表する。モビリティマネジメントの基本的な流れである”行動プラン表”を生徒だけでなく家に持ち帰り家族にも記入して貰う事で有識者と丁寧なコミニケションで記載内容をフィードバックさせ、何処までなら実行可能かを個別課題として実行して貰い、徐々に行動変容に繋げる。これは練習なので、かなり省略もあるが大きな流れとしては実行する価値があると沼川市も本腰を入れている部分。  高校生は、前橋工科大学の先生や学生と一緒に、より具体的で専門的な部分で、実際に施行されている各自治体の交通計画について議論したり、データを読んだり加工したりして佐々山電鉄沿線の交通特性について自ら課題を見つけてレポート提出をする。  単なる、署名を書いて行政に丸投げではなく、自らが佐々山電鉄問題に正対して関わり、そして公的支援はあくまでも運行再開をする手段であり、ゴールではない。その後の”残した後の鉄道の育て方”を学習する事で、生徒も当事者意識を高揚させる事を目的とするモビリティマネジメントと位置付けられた。
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