第一章 

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 開け放たれた窓から、風が吹き抜けた。 カーテンが揺れる。 教室の前方のドアが開いて、学ランをきれいに着崩した男子が入ってきた。 「東雲ー、遅いぞー。」 教師の間延びした声がする。 「…。」 濡烏色の髪、色白の顔、ややつり上がっているように見える目、スッと通った鼻筋、長い脚で完璧な容姿。 全身で妖艶さを醸し出した見た目。 それはさながら美形悪役そのものだった。 東雲春。 それは我が校史上最強で最恐な冷血硬派ヤンキーだった。
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