第二章

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 半分は本当の話だ。 私は親がいない。 父が社長で、母は国民的女優だった。 兄が一人いて、4人家族。 優しい父、頼れる兄、優しい美人な母。 何一つ不自由ない生活を送っていた。 それが突然壊れたのは、14歳。 私に関するあることが原因だった。 父と母はなにかにつけて過保護になった。兄は、時に感情の高ぶる両親をなだめている役目になった。 そして、その頃だった。 母へのストーカー被害。 元から母は、結婚したことも、子供がいることも世間に隠していた。 14歳までは仕事の入っている日以外は家で過ごし、仕事がある日はタワーマンションに住んでいた。 でも、14歳からは私と一緒に過ごしたいと言いだし、リスキーなのをわかっていて家に帰るようになった。 そしてバレたのは9月ごろ。 週刊誌に取り上げられたのだ。 【国民的女優 立花玲‼結婚疑惑浮上!子供の存在も⁉】 【結婚したい女優ランキング第一位 立花玲!二子の母か!相手は星乃製薬の社長⁉】 連日母はパパラッチに追いかけ回され続けた。 父も出勤を控えるようになり、兄はちょうど大学を卒業したあとだったので父の手伝いをしていた。 そんなある日。 私の誕生日の日だった。 母と父と兄で花火を見に行った。 その帰り道。 パパラッチたちに追いかけ回された挙げ句、父と母を乗せた車は崖から落ちた。 兄と私は別のタクシーに乗っていたから助かった。 私の幸せな日常はここで完全に崩れ落ちた。
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