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 そんな2人の出会いから約3年経ち、シャルルが21歳になったある日、いつものようにオーランドルフ城に来ていた私は、シャルルとリヒャルトの手合わせを眺めながら、いつぐらいに彼女に結婚を申し込もうかと頭を悩ませていた。  すっかり仲良くなっていたし、もう彼女も年ごろで、いつ縁談が来てもおかしくはない年齢だ。  リヒャルトと同じく兄としてしか見られていないような気がして、突然他の男がやってきて横から掻っ攫われてしまうのは耐えられないし、自分の中で焦燥感が増していく。  騎士団に所属する彼女は全く男性の影がなさそうで、恐らく初めてだろうから恋愛事にも疎い感じがして、あまり甘い雰囲気を出すと逃げられてしまいそうな感じがする――――  変態と言われる事は何とも思わないけれど、逃げられるのは嫌だ。  モヤモヤと色々と考えていたけれど、その間も二人の手合わせがなかなか終わらないので、私が止める事にしたのだった。  「はいはい、その辺で終わりにしてお茶にしよう」    二人とも手合わせを止められて不本意な顔でこちらを見つめてくる……シャルルはそんな顔すらも可愛くて困る。
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