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 私の肩に手を置いて踊り始めると、ずっと昔から2人で踊る運命だったのではと思えるほどに二人の息はピッタリで、会場中からため息が漏れる。  シャルルの動きは洗練されていて、本当に素晴らしい。  そして何よりとてもいい匂いがする……こんな夜会の時にも香水はつけてこないのが彼女らしいと言えばらしいけど、私には好感度しかなかった。  今すぐに抱きしめて彼女の匂いを堪能したい。  ダンスの最中も体がピッタリとくっついているので、堪らない気持ちにさせられる――――好きな女性と触れ合って理性を保てる男などいるのだろうか?  彼女の温もりが私の体温を押し上げ、ただ踊っているだけなのに気持ちが高揚していく。  そんな私の気持ちなど全く気付いていないシャルルは、先ほどの男とのダンスを終わらせた事への感謝を述べてきた。  「先ほどは助かりました、あ、ありがとうございます」  あの男とまだダンスを踊りたかったと言われなくてホッとしたが、ファーストダンスを奪われてしまったという残念な気持ちが頭をかすめていく。  
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