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 こんな大事な夜に誰かに邪魔をされたら、その人物を無事に帰してあげられる気がしない……いや、物騒な考えは止めておこう、自分の失態に一生後悔してしまうだろうから……  私に連れられて何が起きているのか分かっていないシャルルも可愛すぎるな。  彼女をひょいと抱き上げて膝の上に乗せて話をする事にした。  シャルルは筋肉質であると思ってはいたものの、私にとってはとても軽く腕にすっぽりと収まるちょうどいいサイズ感だった。  腕の中の彼女を見ると、突然の横抱きに酷く動揺している様子で、夜の薄暗い部屋の中においても分かるくらい全身真っ赤になっている姿に抱き上げる腕に力がこもる。  ソファに座って私の膝の上に乗せた彼女からとてつもなく良い匂いが襲ってきて、堪らず首筋に顔を埋めると天にも昇るほどの幸福感が襲ってきた……媚薬か何かの一種なのかと思うくらい。  そんな私にシャルルが冷静に話題を振ってきたのだった。    「……あの、大事な話というのは、何なのです?」  「え?あ、そうだったね。君にしか出来ない、私の願いを叶えてほしくて、その為にここに来てもらったんだよ」
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