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 彼女に触れているその男を消してしまいたい衝動に駆られたけど、彼女の手前、グッと耐えた自分を褒め称えたいくらいに。  そんな私の気持ちに全く気付かずに無意識に煽ってくるシャルルに対して、誰が一番君を愛しているのかを分からせなければと思ったのだ。  「でも、他の人とも距離が近いとお兄様に言われていたではありませんか。私じゃなくても――」  「それは心を許した者にだけって事だよ」  「でも、私の”匂い”が好きだから、そう感じるのではないですか?」  「確かに君の匂いはとても好きだ。ずっとこの匂いに包まれていたいと思うほどに……」  「では、私の匂い以上にもっと好きになれる匂いの女性を探してくださればいいのです」  その言葉を聞いて気付いた、私が彼女の匂いだけが好きだと思われているのだという事を――――  このままでは危険だと感じた私は、シャルルとの出会いや好きになった経緯を話す事に決めたのだった。      「違うよ、シャルル。匂いが好きになったのは後の事で、本当は修練場で汗を流す君に一目惚れしたのが先なんだ」  そう、あれは一目惚れだったのだ。
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