1人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
あたしを、置いていかないで――
その叫びは、たった1つの願いは叶えられた。あたしの不老不死と引き換えに。
王さま――生きて――死なないで。
その、生きて欲しいという願いはたしかに叶えられた。この王なら、不老不死の呪いも解けるだろうと、あたしは思ったんだ。
ウル。ソナタは、死に場所を探していたのではなかったのか?
まだ死ねないと、そう思って、屈した精神を叩き起して歩き出したのではなかったのか?
それが、何故我に生命を捧げた?
半人半神が聞いて呆れるな。あれほど裁定し続けたソナタによって、生命を救われるとは。
くだらぬ。ああ、くだらん。
我が寵愛を与えたがために、その生命を捧げたというなら、これほど馬鹿げた話があるか。
王さまの哀哭の涙が、頬を伝って落ちる。
ありがと――王さま。あたしのために泣いてくれて。
王さまがあたしのために泣いてくれるなんて、思ってなかった。だから、少なからず、嬉しかった。
もう身体は死んでしまったけれど、魂になったあたしは、その光景を目にして、旅立ったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!