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 すると誰かがそんなあたしの両腕へ優しく触れ支えてくれた。 「きっと大丈夫ですよ。さぁ、あちらに座ってましょうか」  看護師のお姉さんはその手同様に優しい声であたしを落ち着かせようとしてくれた。その優しさに思わずお姉さんに寄りかかる。彼女は何も言わず優しく受け入れてくれた。  不安と恐怖ですっかり縮こまり震えていたあたしの体もお姉さんの優しさで多少は和らぎ歩ける程には落ち着いた。優しく体に触れる人の温もり、微かに香る柔らかな香り。ゆっくり歩いている間に何度か深呼吸をするぐらいには余裕が生まれた。  そしてお姉さんに抱き着くように覚束ない歩みを進めては通路へ並んだ椅子に腰を下ろす。 「ありがとう……ございます」  今にも消えそうな声だったがここまで連れてきてくれた事、何より少し落ち着かせて貰ったことへのお礼を伝える。それに対してお姉さんはやっぱり優しい笑みを浮かべ「きっと大丈夫ですからね」って言ってくれた。
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