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3
それからは何度も何度も立ったり座ったりを繰り返しながら、自分に大丈夫だと言い聞かせ只管に待った。
座りながら時折、指を組み神に祈る。
『神様どうかお願いします。あたしのたった一人の可愛い妹を、桃奈を連れて行かないで下さい』
だけど、こんな時だけ都合よく助けを求めるあたしの願いなど聞いてくれるのか? そんな事を考えてしまいながらも今のあたしは、縋れるなら何だって縋る。例えそれが存在するか分からない神だったとしても。
それと待ちながらあたしは何度か姉とのラインをチェックしていた。でも相変わらずそこに既読はない。終わりの来ないようなこの不安と同じで永久に読まないんじゃないかってつい思ってしまうのはきっと、あたしに余裕が無いからなんだろう。
だけど八つ当たりするようにあたしの中では若干の苛立ちが込み上げていた。
「なんでこんな時に……」
そう呟きながらも中々既読が付かないのは仕方がないって事は分かってる。姉の陽南は海外で働いていて忙しくしているんだから。海外に行ってからは普段も返信は遅いし。だから仕方がない。
あたしはそれからもただただ待った。だってそれしか出来ないから。
時間はあたし達なんかには無関心でいつも通りの速度で時を刻む。だけどその中にいるあたし達の感じ方が変化するせいで今は途轍もなく長く感じる。時計を見ても見ても数字は進まず、待っても待っても終わらない。
時折、不安に押し潰されそうになる。だけどあたしがここで耐えたところで吐いたところで祈ったところで何かが変わる訳じゃない。例え今あたしが陽気にポップコーンでも食べながら映画を見てたとしても関係ないぐらいには、今のあたしは部外者なんだから。
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