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 あれからどれくらい時間が経ったのだろうか。何度も時計は見ていたはずだがそれは全く分からない。もしかしたら無限ループに入り込んでしまって永遠に来ないんじゃないかって思う時もあったけど――でもその時はちゃんとやって来た。  不意にドアが開くと中から先生が姿を現した。あたしは先生が歩み寄るよりも速く駆け寄る。先生が口を開くまでのほんの数秒でさえ、待ち遠しくもどかしい。急かしたい気持ちはあったけど黙って先生へ視線を向け待った。まるで判決を言い渡される人のような気持ちだ。 「命に別状はありません」  その言葉で一気に緊張の糸が切れると体が軽くそして楽になるのを感じた。それと同時に安堵の溜息が零れる。 「ですが……」  だけどその雲行きを怪しくさせる言葉が再度あたしを緊張させた。出来る事ならそんな言葉は聞きたくなかった。だけど耳を塞ぎ現実逃避をする訳にもいかない。色々な気持ちをグッと堪えながら言葉の続きを待つ。 「意識は依然、戻っていません」 「えっ? 大丈夫なんですか? ちゃんと戻るんですよね? 大丈夫なんですよね? また一緒に話したり出来るんですよね? 大丈夫なんですよね?」  思わず捲し立てるように。というより大丈夫だと言ってくれと言わんばかりに先生へ言葉を投げつけた。 「分かりません。今は経過を見るとしか……」  申し訳なさそうな表情をする先生にあたしは少し我に返った。 「――そう、ですか……。分かりました」  力無く俯き、あたしはそう小さく呟くしかなかった。
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