◉5◉蒼と翠_VDS番外編_田崎の思惑

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◉5◉蒼と翠_VDS番外編_田崎の思惑

⚠️注意⚠️ このSSは、拙作VDSシリーズの主カプと主キャラズが登場します。 話が見えないかもしれませんが…気になった方は、読んでみてください😊 ただ、長いですが💦 ↓本文デス。 『お疲れ様です。社長、本日備品チェック完了し、不足分の発注が終了した報告を受けました。それを以てしても、スタッフのバランスが取れなくなるかもしれません。セクシャリティの問題でケアに支障が出ないようにと開発していたツールが出来上がったそうなので、出来れば一度試しておいて下さい。他の役職付きのセンチネルたちにも協力を仰いでありますが、率先してやっていただければと思っております 田崎』  潜入捜査から戻ったばかりの俺の元へ、仕事の鬼、田崎(たさき)からメッセージが届いた。  いや、俺だってどちらかと言うとワーカホリックな仕事の虫だ。でも、流石に一月以上女性に化けての潜入捜査を終えたばかりで、ケア用のツールのトライアルをしろと言われても……。 「相変わらず俺には手厳しいな、あのヤロー。仕方ないから(そう)に協力してもらうか」  俺は戻って変装を解く暇もなく、デスクに置かれていた紙袋を持ってペントハウスへと戻ることにした。 ◆◇◆ 「ただいまー。強盗集団とっ捕まえてきたぞー」  ドアを開けてふかふかの毛足の長い絨毯を踏みながら、タイトスカートにピンヒールの俺はどかどかと部屋の中へ入って行った。  リビングの手前で、人が動く音がしている。コーヒーの香り、左に置いてあるカップに俺用のキャラメルラテ、右に蒼のためのブラック。  そして、それを載せたトレイを持って歩いてくる、愛しい蒼の香り。 ——あと三歩、二、一……。 「おかえり、(すい)」  声と共に、甘い視線と声が降ってきた。  柔らかく俺を包み込んで、労いのキスをくれる。唇に、頬に、髪に……たくさん与えてくれながら、背中にそっと手を回して支えてくれる。  その手が体に触れるだけで、俺はビリビリと全身に甘い痺れを感じた。 「ミッション完了おめでとう」 「おー、サンキュー。往生際が悪かったんで、ワナにはめてまとめて縛ってきてやったよ」  今日の俺は大活躍だった。どう考えても力では敵わないような大男たちを、逃走ルートを匂いと肌感覚だけだけを頼りに組み立て、一網打尽にしてやったのだ。  得意げに語る俺に、蒼は何か気に入らないことがあるようで、不服そうに顔を顰めてみせた。 「それ……健全なやつ?」  そんなことを言いながら、俺にキャラメルラテを渡してくれる。オレはそれを一口飲んで、帰ってきたことをさらに実感する。蒼の淹れたコーヒーの味と香りに、疲れた体と心がふわりと解けていった。 「はあ? 当たり前だろ。変な想像させるなよ……虫唾が走るわ」  そんな軽口を叩きながら、お互いをぎゅっと抱きしめあった。  ここが俺の居場所。帰ってくるたびに泣きそうになるほどに、好きな場所。  ちゃんと帰って来れたのだと強く実感したくて、死んでも離れないと誓い合った男の体へ、顔を埋めてしがみついた。 「あーやっと帰れたぁー。蒼だー。やっと触れるー」  俺たちは普段はペアで潜入することが多い。お互いにレベルが高すぎて、他に対応出来る相手がいないからだ。  ただ、今回は女性に変装する必要があったのと、潜入先がセンチネルだけを集めている場所だったため、俺が単独でいくことになった。  数ヶ月会わなくなる生活が続くとなると、ゾーンアウト阻害薬である「クラヴィーア」を使っていても、なかなか大変な生活になる。  他のやつらは、その日のうちに当番のガイドにケアをお願いしていたけれど、俺はそれを受けずに過ごした。俺は伊達に今の現役センチネルで世界最高レベルと言われているわけではない。能力コントロールはお手のものだ。  それに、必要無いのであれば蒼以外のガイドからのケアは受けないようにしている。そもそも、オレのレベルに対応したガイドは、蒼しかいない。ボンディング相手よりもレベルの低いガイドが俺に触れてしまうと、ガイドがダメージを受けてしまう。  そんなわけで、ずっとメンタルだけでアウトしないように、ずっと自分を律していた。だから、今はとにかく蒼に触れたくて仕方が無い。 「ん……」  片手にトレーを持ったまま俺の腰に手を回し、蒼は俺に、おかえりのキスをたくさんくれる。 「はあ、んっ……」  俺はその愛しい男の首に手を回して、必死になってその舌を追いかけた。 「あっ、んんっ、やばっ……力が……」  二ヶ月もパートナーの温もりに触れず、鉄の意志を保ち続けていた反動が来てしまい、俺は腰が砕けて立ち上がれなくなってしまった。蒼はそんな俺を見て嬉しそうにふわりと笑う。 「ほら、おいで。まずはお風呂に入ろう。洗ってあげるから」  そう言って伸びてきた手が、俺の膝の下と脇の下へとするりと入り込む。そのまま優しく抱き上げられて、バスルームへと連れて行かれた。 「一度ケアもしておこうね。さすがに二ヶ月誰にも触れられないと、辛かったでしょ?」 「まあな。正直今すぐ俺の方から食いちぎりそうな勢いだ。それに……またアレ入れただろ?」  少し前にセンチネルにだけ催淫効果のあるバスジェルを開発して、俺にそれを蒼が仕掛けたことがあった。あの時は効き過ぎてえらい目にあった。今日そんなことになると、下手したら俺の心臓は止まってしまうかもしれない。念の為に確認しておかなくては……。  蒼は俺の服を脱がせながら、その思いを読み取ったようで、にっこりと笑みを浮かべて小さく被りを振った。 「うん、浴槽に張ったお湯に入れたよ。でも、大丈夫だから。すごく少量にしてあるよ」 「それならいいけど……。いや、使わなくても良くないか? だって、俺はお前が相手なら何もしなくても……」 「うん、わかってるけどね。なんていうか……ケアってほとんどしなくなったでしょ? だから俺の心構えの問題っていうか……ただ抱きたくて抱くのとは違うって思わないと、可愛がってばっかりになっちゃって。長引くと、翠は辛くなるってことを忘れちゃうんだよ。それを防止するために、何かしらツールを使うようにしてるんだ」 「ふーん。そう……か、あ、やば……効いてきた……」  バスルーム内の空気を吸うだけで、下腹の奥の方がジンジンと疼き始める。それがだんだん広がって、中心から外へ向かってじわじわと小さな快楽に飲まれる。 「んっ、あ、っは」  湯船の中へと連れていかれ、蒼は俺を後ろから抱き抱えるように包み込んだ。鍛え上げられた体に、疲れた自分を重ねて、全てを預け切ってしまう。俺が唯一、全てを投げ出せる幸せを感じられる時間だ。  蒼は俺の首筋に軽く口付けて、肌にするりと手を滑らせる。バスジェルのおかげでお湯は僅かにとろみがあり、いつも夢中にさせられてしまうその手に、さらに惹きつけられていった。 「あっ、あっ! やべっ……本当に少ししか入れてないのか? んっ!」  蒼の手が這うたびに、首のキスが深くなるたびに、後孔の奥の方から背中へ向けてじわじわと迫り来るものがわかる。  上も下も、何も直接は触られていないのに、胸がドキドキしすぎて破裂しそうで、もう言葉も出せなくなりつつあった。自由に熱を逃がせるのが口だけなのに、そこから熱い息を吐き出して耐えるしかなくなってしまったからだ。 「このジェル洗浄料入りだから、取り敢えずこれで洗えてるからね。お湯抜いて上からシャワーで流すから、お湯出してくれる?」  蒼は、そう言って浴槽の栓を抜いた。俺は言われた通りに頭上にある金色のクロスハンドルを回してお湯を出そうと、壁づたいによろよろと立ち上がった。 「あっ! ……んんあああっ!」  ハンドルが回ってお湯が落ちてきた瞬間に、後ろから思い切り穿たれた。 「うあっ……んっ、んんっ!」  奥まで一気に入ってきた蒼が、ナカの行き止まりへトンっと触れた途端に、まるで噴射とも言える勢いで欲が放たれてしまった。 「あっ……だめっ! はあああっ!」  恐ろしいほど急速なメンタルの回復が起きる。俺は体を喜びに震わせた。コントロールが効かなくなると、今度はストレスになってしまう。そうなると、本末転倒だ。そうならないようにギリギリのラインを見極めて、蒼は攻めてくる。 「ん……気持ちいい? いいって思ってるのが伝わってくる。いいループに入ったよ」  体を流れる痺れは強烈で、クラクラと目眩がするほどだった。ただ、蒼は優しくゆっくり動くだけにとどまっていて、そういうところで、この行為はガイドがセンチネルをケアしている状態なのだと良くわかる。  俺が壊れないように、そして最も効率よくケアが終われるように。考え尽くされたガイディングだった。 「一度落とすからね。しっかり眠ってね」  そう言うと、それに耐えうる状態になっているかどうか、シールドの復旧具合を確かめたりしながら緩く抽送を繰り返す。その全てが問題なく済んだとなると、激しく腰を打ちつけ始めた。 「…いっ、あ……、あ、ああっ!」  二度目もまるで壊れた蛇口のように、激しく白い飛沫を巻き上げた。  そして、蒼の宣言通り、俺はそのままぐったりと倒れ込むと、蒼の体にしがみついたまま、深い眠りに落ちていった。
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