第一章

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夏休み、それからは近くの公園に行ったり。 お母さんがドライブに連れて行ってくれたり。 ゆっくりと過ごした。 前の学校を思い出して、辛くなったりちょっと悲しくなったりはしたけれど。 それでも、少し気持ちが落ち着いて来ていた。 新学期。 新しい学校。 「よろしくお願いします…!」 緊張しながら、あいさつした。 「………………」 静かな教室。 「みんな、仲良くしてあげてね」 先生がフォローしてくれたけれど。 なんだか、不安になってしまった。 その不安は、現実になって襲いかかってくるなんて、この時は知る由なんてなかった。 「おはよう…」 頑張って話しかけてみた。 だけど、みんな頷くだけ。 見ているテレビの話題が出ていても、わたしが輪に入ろうとしたら、やめてしまう。 近くにあるお店のはなしも。 学校のことも。 全然入れない。 わたし、何でここにいるんだろう。 かなしくなって、少しだけ泣いた。 「最近、どう?たのしい?」 「う、うん」 家族には、いえない。 学校の先生にも。 もう少し、我慢したら。 中学生になったら。 きっと、変わるはず。 大丈夫。 馴染むんだって、決めたんだから。
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