第1章

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(どうせ、自身の実家の権威を確かなものにしたいだけだろう)  彼女の家は、ここら辺では歴史のある豪族だ。今までにも王室に何人か女性を送っている。  が、いや、だからこそ。彼女の家は傲慢だった。  メルレインはそれを知っている。自身に媚びてくる祖父の顔を見れば、それくらいは容易にわかるのだ。 「ダメです。あなたの直系でなくては、なりません」  このままでは、いつもの言い合いが始まってしまう。  心の中だけで舌打ちしつつ、メルレインは側にいた男に時間を尋ねる。……もうそろそろ、客人が来る時間だ。 「そうですか。ですが、生憎、この後来客の予定がありましてね。……一旦、引いていただきたい」  とんとんと王座のひじ掛けを指でたたいてそう言えば、母がぐっと唇を噛んだのがわかった。 「来客とは、何処の誰ですか? 母の意見よりも、大切なことを言うお方で?」  ……もう、呆れてしまう。  こういうところが、メルレインが母を苦手とする要因だった。  傲慢で強欲。挙句、強引に自分の話に持っていこうとする。話がかみ合わないことだって、よくあるのだ。 「えぇ、そうですね。……本日、他国の姫がこちらに来る予定なので。なんでも、俺と直に話しがしたいと」 「……よくもまぁ、他国の姫などとの話を受け入れましたね。どうせ、援助のお話でしょうに」 「そうだったとしても、ですよ。……話を聞くくらいは、ただですからね。援助をするかどうかは、別問題ですが」
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