第1章

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 宮殿につき、アルティングルは見張りであろう兵士に声をかけた。 「本日、陛下に謁見をお願いしております。ナウファルのアルティングルと申します」  軽く頭を下げてそう言えば、兵士はなんのためらいもなく深々と頭を下げる。 「お待ちしておりました」  彼がすぐにそう言ったことに、アルティングルは驚く。  だってまさか。兵士にまで自分の訪問を知られているなんて、思わないじゃないか。 「陛下が応接間にてお待ちになっております。……ご案内、させていただきます」  兵士にそう声をかけられて、アルティングルは控えめに頷いた。すると、その兵士は別の見張りの兵士に声をかけ、宮殿の豪華な門を開ける。 「では、行きましょうか」 「は、はい……」  彼に言われるがまま、アルティングルは宮殿の中へと足を踏み入れる。 (……わぁ、なんて、美しいのかしら……!)  宮殿の中は、まさに豪華絢爛という言葉が似合う空間だった。  むしろ、この空間以上にその言葉が似合う空間など、アルティングルには想像もできない。  きょろきょろと宮殿の中を見渡していれば、兵士に「アルティングル殿下」と名前を呼ばれた。  そのため、ハッとしてアルティングルは視線を彼に向ける。 「あ、あの、申し訳ございません。なんというか、素晴らしい空間だと思ってしまいまして……」  肩をすくめてそう言えば、兵士は「いえいえ」と言いながら手を横に振る。 「いらっしゃったばかりですと、皆さまそんな反応でございますよ。……ただ、陛下の前では、あまりそういう風な態度は取られないほうがいいかと」 「そ、そうですよね……」  どうやら彼はかなりフレンドリーな性格らしい。  それを察しつつ、アルティングルは彼に連れられるがままに宮殿内を移動していく。
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