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Ⅲ.対峙
――お祖母ちゃんに窘められた私は、気持ちを整理出来ないでいた。
特に考えもなく、散歩がてら田んぼの畦道を歩いた。
それにしても驚きだ。言い方は悪いがボケた様子もなく、真剣に、それでいて優しく語ってくれたお祖母ちゃん。あんなのは久しぶりだ。
そしてそれよりも信じがたい、昨晩見た女の子の霊。
怖がらなくていいとは言われても、どうしたって怖い。
身の上話を聞いた以上、同情すべき点があることは分かった。でも今現在、呪いと言われても仕方がない事象を、各地で発生させていることも事実なのだから、やっぱり私は怖い。
水路にかかった小橋のヘリに腰掛け、改めて昨晩を思い出す。
――スイ、スイ、スイ、コンスイのスイ。
しかしまあ、頭に残るメロディだ。ついつい口に出したくなる。
歌わなければいいのだから、口笛なら大丈夫か。
ピー、ピー、ピー、ピーピーピ、ピー♪
私は軽快に口笛を吹き鳴らした。あのメロディで。
すると隣から声が聞こえた。
「……今、なんて歌ったの……?」
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