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第1話
時は、2024年5月11日の午前11時50分頃であった。
場所は道後温泉白鷺坂にある(ホテル)椿館にて…
この日、一組のカップルさんの挙式披露宴が行われていた。
今回の主役のカップルは、津慈本ほのか(32歳)と夫・圭佑(36歳・IT企業に勤務しているプログラマー)である。
ふたりは、ほのかが高校にいた時に出会った。
当時、圭佑は神戸にある教育大学の学生で教育実習でほのかが通っていた高校に来ていた。
ふたりは、14年間の交際期間を経て結婚することを決めた。
そしてこの日、よろこびの日をむかえた。
結婚披露宴は、午後1時より開始予定である。
結婚披露宴の司会は、ほのかの幼なじみの入江大和(32歳・契約社員)が務める予定である。
大和は、これまでに同級生の女の子たち数人の結婚披露宴の司会を務めたことがあった。
ほのかは、大和の名司会が気に入ったので今回の結婚披露宴の司会を頼んだ。
場所は、椿館のエントランスホールにあるカフェテリアにて…
この時間、神前挙式〜親族紹介に出席していたみなさまが集まっていた。
出席者のみなさまは、お茶をのみながら楽しくおしゃべりをしていた。
ところ変わって、新婦の控え室にて…
純白のウェディングドレス姿のほのかは、ワクワクした表情を浮かべていた。
きょうの披露宴の司会は、大和くんが務める…
大和くんは、お話上手だから楽しみだわ…
この時、大和の両親・入江常吉よしこの夫婦が新婦の控え室にやって来た。
よしこは、満面の笑みでほのかに声をかけた。
「ほのかちゃん、ご結婚おめでとう。」
「大和くんのおとーさんとおかーさん。」
「ほのかちゃんきれいね…ステキよ。」
「ありがとうございます…大和くんはもうすぐ来るかな?」
「大和は、長男夫婦の家族たちと一緒に車に乗って移動しているわよ…今、石手川ダムの近くの国道を通っている頃かな…もうすぐここにつくわよ。」
「早く大和くんに会いたいな…大和くんは喜んでいるかな?」
「もちろんよ…大和は人の幸せをスナオに喜ぶ子だから大丈夫よ。」
「そうよね。」
ほのかは、ワクワクした表情で大和が到着する時を待っていた。
深刻な悲劇は、この時からすでに始まったと思う。
(ブロロロロロロ…)
話は、2時間前の朝9時50分頃であった。
大和の兄・入江拡和(48歳・管理職)と妻・舞(38歳・専業主婦)と長女・まや(4歳・舞の元カレのコなので連れ子である)と大和の4人が乗っている9人乗りのトヨタ・ヴォクシー(ミニバン)は、今治市片山の国道196号線と317号線がクロスする小泉交差点で信号待ちのために停まっていた。
三段目の席に乗っている大和は、結婚披露宴の司会の進行表をみながらソワソワとしていた。
4人が乗っている車は、道後方面に向いて停まっていた。
この時であった。
「ああああああああああああああああ!!」
舞がとつぜん叫び声をあげた。
車を運転している拡和は、怒った声で舞に言うた。
「おい!!静かにしろ!!」
舞は、おたついた声で言うた。
「あなた!!」
「なんぞぉ!!」
「家に引き返してよ!!」
「家に引き返せだと!!」
「まやが(表と裏を)ひっくり返した状態で衣服を着ていたのよ!!」
「またかよ!!」
「あなた!!」
「分かったよ!!帰りゃいいんだろ!!」
(ブロロロロロロ…)
道後方面寄りの信号機が青になったと同時に、4人が乗っている車が国道196号線に左折した。
車は、蒼社川大橋の左の側道から蒼社川の道を通って今治市内へ向かった。
またまやが表と裏をひっくり返した状態で衣服を着ていた…
そうしたトラブルは、お祝いごとなどがあった日や家族みんなでお出かけの日などに発生した。
トラブルが発生したあと、また家に帰る…
帰宅したあと、ひっくり返した衣服を脱がした。
裏と表を直すだけで解決できるのに、舞は『やっぱりダメだから…』と言うてタンスから違う色の衣服を出した…
その後、違う衣服をまやに着せた…
しかし、舞は『納得がいかない…』と言うて大パニックを起した…
大パニックを起した舞は、タンスの中にしまっていた衣服を全部出した…
タンスから全部出した衣服を一着ずつ着せたが、全部おかしい服ばかりだった…
納得がいかないので、新しい衣服を買いにユニクロへ行く…
1日の予定は、まやのアイフク選びにつぎ込まれた…
舞ひとりのせいで、せっかくの休日かパーになった…
…と言うことばかりがつづいた。
舞はなにを考えているのだ…
ものすごくうんざりした表情を浮かべている拡和は、大急ぎで車を走らせた。
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