嫌いじゃないなら、何なの?

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嫌いじゃないなら、何なの?

「離して! 痛いよ!」 「なら約束しろよ」 「嫌! 周の指図は受けない!」 「それじゃあ、お前はアイツと付き合うつもりなのかよ?」 「そんな事言ってない! 受けるも受けないも私が自分で決めるって言ってるの!」  訳が分からない。  何で周はこんなにも偉そうなの?  そんなに三波くんの事が嫌いなの?  それとも、私が誰かと仲良くする事が気に入らないの?  分からない。周の事が分からない。 「周は、私の事が嫌いなんでしょ? 嫌いでいいから、放っておいてよ。私たちはもう、だいぶ前から何の関係も無い、他人じゃない……今更干渉しないで」  とにかく周の言う事なんて聞かない、聞く気もないから耳を傾けたくもない、そう思ってたのに…… 「何だよ、それ」 「……え?」 「俺がいつ、お前を嫌いだなんて言ったんだよ?」 「え……いつって……そんなの、……」 「俺はお前を嫌いだなんて言った事、ねぇよ。今も昔も、嫌いだなんて……思ってねぇ」  周は私の事を嫌いだなんて言った事は無いと口した。  それどころか、今も昔も、嫌いだなんて思って無いとも。  周は私の事が嫌い――私はそう思ってた。  だけど、思い返してみると、直接『嫌い』と言われた事は無かったかもしれない。  でも……それでも、私を振ったじゃない。 『恋愛対象なんて気持ち悪い』って、酷い事を言ったじゃない。  あれから、急に冷たくなったじゃない。  まるで見せつけるかのように、色々な女の子と一緒に居たじゃない。  それは私の事が嫌いだからなんでしょ?
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