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「え……? どうしたの、急に」
「いや、ほら、隣の席だし……それに、家、隣同士でしょ?」
「知ってたの?」
しかも、三波くんは私と周の家が隣同士なのを知っていた。
「あー、実は昨日、山野井さんを送って行った時、見えたんだ。隣の部屋の窓から矢地くんが覗いているのを」
「覗いてた? 周が……」
更に、周が私と三波くんが一緒に帰って来た場面を見ていたという衝撃的な事実まで判明した。
(それじゃあ、もしかして、今日の朝一緒に行く事も、知ってた? それが面白くなくて、周はいつものバスに乗って来なかったんじゃ……)
帰り際のあの態度を思えば、私が三波くんと仲良くしていたのが面白くなかった事は容易に想像出来るから、同じバスになんか乗りたくないだろう。
だけど、次のバスでも間に合うのだから次に乗ればいい訳で……。
(そんな訳ないか、次でも間に合うもんね。本当にただの寝坊……なんだろうな)
やっぱり私の事は関係無くて、たまたまだったのだろうと結論づけた。
「山野井さん?」
「あ、ごめん。確かに私と周は家が隣同士の幼馴染みだけど、ほら、異性だし、今はもう全然話したりもしないから仲良くないよ。本当、昔の話」
こうして改めて口にすると悲しくなるけど、周と昔のように話す日なんて、きっともう巡っては来ないから。
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