どうしてそんな事言うの?

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「……え?」  あまりに突然過ぎて、それ以上の言葉が出て来ない。 (好きって、私を? 何で?)  私の事が好きだなんて、そんな事があるのだろうか? こんなにはっきりと面と向かって告白された事――そもそも告白された事自体無かった私はただただびっくりして、どうすればいいのか分からない。 「ごめん、突然過ぎて驚くよね。けど、早めに言った方がいいのかなって思ったんだ」  そう口にした三波くんは、チラリと私の後ろに視線を移す。 (何? 後ろに何かあるの?)  彼の視線の先に何があるのか気になった私が振り返ると、 「住宅街の、他人んちの前で告白かよ? なかなかやるな、転校生」  そこには、いつも以上に不機嫌な顔をしている周が立っていた。 「あ、周……何で……」 「あ? 自分の家に帰って来ちゃ悪いのかよ?」 「そ、そんな事はないけど……一体いつから……」 「今さっきだよ。何か文句あんのかよ? いちいちうるせぇな」 「ご、ごめん……」  周が帰って来た事に全然気付かなかったのは無理も無い。だって私は背を向けていたのだから。  でも、それなら三波くんは私の後ろが見えていた訳で、周が来ていたのも分かっていたはず。  それなのに、私に告白したという事だけど、それは何故か分からないし、どうしてわざわざ人が来ると分かっている中で告白なんてしたのだろう。 「ごめんね、こんなところで。わざとじゃないんだ。矢地くんも、気を悪くしたなら謝るよ。けど――女の子にそういう態度は見過ごせないな。今のは俺が悪かったんだから、山野井さんに強く当たらないで。それじゃあ山野井さん、また明日。さっきの返事は後で聞かせてね」  三波くんは私と周に謝り、私に冷たく当たった周をやんわりと注意してから、自宅のある方向へ歩いて行ってしまう。  そして、残された私と周の間にはいつも以上に気まずい空気が流れていた。
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