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幼馴染み
「周、帰ろ?」
放課後、帰り支度をしていると隣の席に座る男子生徒の元に一人の女子生徒が現れた。
彼女の名前は今井 逸華。
バッチリメイクを施し、活発でサバサバしていて、ショートヘアが良く似合う女の子。
「おー」
そんな今井さんの問い掛けに気だるそうに応えながら席を立つのは、矢地 周。
切れ長で鋭い目に少しだけ長めの明るい茶髪で、耳にはピアスを左右に三つずつ付けている。
そんな彼は何も入ってい無さそうなスクール鞄を手にすると、今井さんと肩を並べて教室から出て行った。
ーー私、山野井 小春と周は家が隣の幼馴染みだ。
物心ついた頃からいつも一緒だったけれど、いつの頃からか距離が出来て、今ではもう必要最低限の会話しかする事のない間柄。
幼稚園、小学校、中学校は全て一緒だったけど、せめて高校は別にしようと思って敢えて遠くの高校を選んだのに、何故か周と同じ高校になってしまった。
そればかりか、クラスも一緒、更には席まで隣という何とも言えない状況だった。
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