337人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
嫌いじゃないなら、何なの?
「離して! 痛いよ!」
「なら約束しろよ」
「嫌! 周の指図は受けない!」
「それじゃあ、お前はアイツと付き合うつもりなのかよ?」
「そんな事言ってない! 受けるも受けないも私が自分で決めるって言ってるの!」
訳が分からない。
何で周はこんなにも偉そうなの?
そんなに三波くんの事が嫌いなの?
それとも、私が誰かと仲良くする事が気に入らないの?
分からない。周の事が分からない。
「周は、私の事が嫌いなんでしょ? 嫌いでいいから、放っておいてよ。私たちはもう、だいぶ前から何の関係も無い、他人じゃない……今更干渉しないで」
とにかく周の言う事なんて聞かない、聞く気もないから耳を傾けたくもない、そう思ってたのに……
「何だよ、それ」
「……え?」
「俺がいつ、お前を嫌いだなんて言ったんだよ?」
「え……いつって……そんなの、……」
「俺はお前を嫌いだなんて言った事、ねぇよ。今も昔も、嫌いだなんて……思ってねぇ」
周は私の事を嫌いだなんて言った事は無いと口した。
それどころか、今も昔も、嫌いだなんて思って無いとも。
周は私の事が嫌い――私はそう思ってた。
だけど、思い返してみると、直接『嫌い』と言われた事は無かったかもしれない。
でも……それでも、私を振ったじゃない。
『恋愛対象なんて気持ち悪い』って、酷い事を言ったじゃない。
あれから、急に冷たくなったじゃない。
まるで見せつけるかのように、色々な女の子と一緒に居たじゃない。
それは私の事が嫌いだからなんでしょ?
最初のコメントを投稿しよう!