幼馴染み

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「ただいま」  周たちとは一本後のバスに乗って帰宅した私はそう呟き、直ぐに階段を登って自室へ入る。 「暑……」  閉め切った部屋の中は蒸し暑く、着替える前にひとまず空気の入れ替えをしようとカーテンを開いてから窓を開けると、隣の家のすぐ側の部屋から声が聞こえてくる。 「……ん、……周……」  女の子の甘い声とカーテンの隙間から除く、重なり合った二つの影。  隣の部屋、それは他でもない周の部屋。  私よりも一本早いバスで帰ったであろう周と今井さん。  瞬時に今の状況を理解した私は開けたばかりの窓を閉めて、カーテンを思い切り閉じた。 「……ヤるなら、窓くらい閉めなさいよ……」  私はそうポツリと呟くと、そのままベッドに倒れ込んだ。  小学校高学年から急にモテ始めた周。  中学校では入学当初から『格好良い』と人気で、先輩からも良く誘われていた。  その頃から誘いに乗ったりはしていたけど、高校に入ってからはより一層女遊びが激しくなった気がする。  かくいう今井さんだって、周の彼女では無い。  周は常に色々な女の子と遊んでいた。  学校ではよく違う女の子と一緒に居る所を見かけたりもする。  けど、家に連れて来るのは大抵今井さんだった。  多分、沢山居る女の子の中で彼女は特別……という事なのだと思う。
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