幼馴染み

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「小春、お隣に回覧板渡してきてちょうだい」 「……はーい」  あれから着替えもせずに眠ってしまっていた私は夕飯を食べ終えてリビングのソファーでテレビを観ながら寛いでいると、母に回覧板を回して来るように言われ、面倒なのと気まずさが渦巻く中、重い腰を上げて渋々リビングを後にした。  母も周の母も、私たちが仲良く無くても何も聞いて来ない。「もう高校生だし、異性の幼馴染みだから仕方ないわよね」と言っているのを聞いた事があるくらい。  確かに、言われればそうかもしれない。異性なんだし、合わないのは仕方ない事なのかもしれない。  幼い頃は一緒でも、成長するにつれて好みだって考え方だって変わっていく物なのだから。  回覧板を渡し終えた私は、周のお母さんに会釈して隣の自宅に戻ろうと歩いていると、 「あ……」  今井さんを送って来たのだろうか、コンビニの袋をぶら下げて帰って来た周と鉢合わせてしまう。  挨拶くらいしなきゃ、そう思うのに言葉が出て来ない。  結局、私から視線を外した周は横を無言で通り過ぎて家に入って行ってしまった。 「……何よ、感じ悪い……」  そう小さい声で呟き、自宅まで歩いて行った私は玄関のドアを乱暴に閉めた。  どうして、こんな関係になってしまったのだろう? 私が告白さえしなければ今でも距離は近かったのだろうか?  答えの出ない問い掛けが、いつまでも私の心の中を支配していた。
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