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転入生
「ねぇ小春、今日転入生がうちのクラスに入るらしいよ!」
翌朝、教室に着くなり親友の蔵田 唯が興奮気味に私の元へやって来る。
「転入生?」
「うん! しかも、男の子だってさ!」
そう話す唯はすごく嬉しそう。
瞳を輝かせ、肩まで伸ばしたウェーブがかった黒髪を揺らしながら話しを続けていく。
「さっき職員室で見た子がいるみたいなんだけどさ、めちゃイケメンらしいの!」
「へぇー」
イケメンに目がない唯はまだ見ぬ転入生に思いを馳せてうっとりしているけれど、そんな彼女とは対称的にあまり興味のない私は気の無い返事を返した。
「もう、小春は冷めてるなぁ~」
「唯が騒ぎすぎなの。ほら、そろそろ先生来るから戻りな」
「はーい」
唯に席に着くよう促すと渋々戻って行き、溜め息を吐きながらちらりと横を見ると、ヘッドホンをして音楽を聴きながらスマホを弄っている周が視界に入る。
隣の席でも挨拶すらしない、私たち。
早く席替えがしたいなと思いながら窓の外へ視線を移し、どんよりとした空を眺めていた。
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