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「三波 陽太です。よろしくお願いします」
担任の先生と共にやって来た転入生の三波くんは、ナチュラルな刈り上げマッシュの黒髪で笑顔が素敵な爽やかな印象の男の子だった。
周とは少しタイプが違う感じだけど、イケメンだし、優しそうなところが特に人気が出るだろうなと思った。
朝のHRが終わって担任の先生が教室から出て行くや否や、クラスの大半の女子生徒たちは廊下側の一番後ろの席に座った三波くんに群がっていく。
その中には勿論唯の姿もあった。
私は特に興味を示す事なく一限目の準備をしていると、ふと横から視線を感じてチラリと横目で見てみる。
「…………な、何?」
すると何故か、周がこちらに視線を向けていた。
何か用があるのかと思って問い掛けてみるも、
「別に」
不機嫌そうな表情を浮かべながら一言呟くと、視線を外してしまった。
(な、何なのよ、一体……)
周の方が見ていたくせに、不機嫌そうな表情をされる意味も分からず、何だか腑に落ちないモヤモヤした気持ちを抱えたまま、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴るのを耳にした。
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