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3か月が過ぎても警察が私を尋ねて来る事はなかった。傷害事件としてニュースにはなったらしいけど、マンションの防犯カメラが故障していたらしく、犯人が、つまり私の姿が防犯カメラに捉えられてはいなかったようだった。 その間、私はあの女の死を願った。だが、未だ叶っておらず、一度だけ、私は彼と腕を組んで歩く女の姿を町中で目撃した。 叶わない理由はサメが動かないからだと理解はしていた。あの日から2匹のサメは動きを止めたままだった。理由はわからない。あの時、私を止めたのはサメだったのかも知れない。私はそれに逆らい女に体当たりをかました。考えられる理由がらあるとしたら、私にはそれくらいしか思いつかなかった。 仕事は辞めた。いや、辞めざる終えなかった。 食べても食べても太るどころか、痩せ細っていき、酷い拒食症のような身体になってしまい、療養を盾に自主退職を促されたのだ。 今では20キロを切っている。貯金を叩き、食料を買い込んで貪りついても体重が元通りになる事はなかった。 その分、2匹の赤いサメは肥えて行くばかりで、最初は動かないからと思っていたが、今ではま丸々と肥えているのを見ると、私が食べた分以上の養分を私から吸い取っているみたいだった。 このままだと死んでしまう。そう考えた私を助けてくれるのは占い師マリカだけだと思い、私は占いの館へと出向く事にした。 ガリガリに痩せ細った私は、周囲の格好の餌食だった。スマホで撮影されたりもした。中には心配し、声をかけて来る人も少なからずあった。 そのような人達を私は嘲り罵った。 こんな痩せ細った私を馬鹿にしたいだけでしょ? 親切心で近寄って来るのは、そういう行為をしている自分が可愛いからじゃないの? 私は枯れ枝のような腕で近寄る人達を追い払った。構内の中央付近のホームに立ち、入って来る電車を待った。アナウンスと同時にいきなり赤いサメが見えた。2匹は激しく泳ぎ出している。獰猛な歯を剥き出し仰向けになって泳ぎ出した。 その姿を見て私は微笑んだ。ようやくあの女を殺してくれるのね。赤いサメに向かって話しかけた。 突然、私の背中を誰かが押した。私は宙に浮き、線路へ向かって跳ねた。入って来る電車の運転士と目が合った。レールと砂利の上へと身体が落ちる。骨が折れた音がした。瞬間、電車の車体が私の頭を跳ねた。首が千切れ頭が風船のように舞い上がる。髪を振り乱しクルクルと回りながらレールの上に落ちた。それを、車輪が踏み潰した。 「あゝなんで…」 その言葉と同時に2匹の赤いサメの動きが止まり仰向けのまま私を見返していた。 鋭利な多数の歯を剥き出した2匹の赤いサメは、 まるで私を嘲笑うかのようにその大きな口を開き、その大きな身体を左右に揺らしていた。 笑いたければ笑いなさいよ。 何処からか、そのような言葉が聞こえた気がした。
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