妖退治

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気付けば灯は眠っていたらしい。 起きた時にはもう夜の21時を過ぎていた。窓の外は暗い。 (明日の用意をしないと……宿題はなかったはず……予習は……) 起きたばかりで頭がうまく回らない。ぼんやりしていると部屋のドアが開き、誘宵が入って来た。 「お、起きてたのか」 「今起きたところ」 誘宵は夕方まで着ていた洋服ではなく、藍色の着流し姿だった。 「腹減ってるだろ、台所に行って来いよ。雛彩芽がお前の分を棚にしまってたぞ」 多分、冷蔵庫に入れたと言っているのだ。 誘宵はテレビもパソコンもスマホも「板」と呼ぶ。 レンジは「箱」だ。 寝る前は食事などとる気になれなかったが、ぐっすり眠って精神的にも落ち着いたのかお腹は減っていた。 誘宵に言われるままに台所に行き、冷蔵庫の中を見る。 ラップにくるまれた皿がいくつかあり、ガス台の鍋には味噌汁、炊飯器の中にはご飯も残っていた。 どうやら今日の夕食は豚肉の生姜焼きに根菜の煮物らしい。味噌汁は豆腐とネギ。灯の好きな具材だ。 「誘宵はご飯食べたのか?」 「食べたよ。おかわりもしたぜ。お前のところの料理人、腕がいいのな」 「長年勤めてくれてるお手伝いさんが料理を作ってくれてるんだ。本邸は専属の料理人がいるみたいだけど」 灯の身の回りの世話は、祖父母の代から住み込みで働いてくれているお手伝いさんがしてくれている。 お手伝いさんは数名いるが、皆いい人だ。
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